落ちていく、紅や黄の葉っぱ。それは遠慮なく彼女の髪や肩にのる。むしろ面白そうに払いながら、彼女は葉の一枚を手に取った。
――この季節の、落とし物。
惜しげもなく手を放し、葉を落とす。他の葉と見分けがつかなくなる。
落ちた葉が積み重なる柔らかく歩きにくい紅の地の上を、彼女はそれを苦とせず歩く。
――大丈夫だから。
子供をあやすように彼女は自分に言い聞かせ、コンビニで買ったスコップを一角に突き立て、掘っていくうちに段々と露になる湿って腐った土を掻き退ける。
やがて、彼女はそこに行きつく。
長い年月が経ったのだから当然なのだが、それは既に腐敗し、骨だけとなっていた。今も耳につきまとうあの鳴き声。
「……ごめんなさい」
幼さゆえの残酷が許せず涙が出た。どうしてあんなことをと悔やんでも遅い。
ほんの小さな猫だった。
唐突に、遠い昔のあの鳴き声が、驚くほど近くでした。振り向いたその目の端に、小さな影。
……断罪の時だ。
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