優くんが家に来る。
それを聞いた私は天にも昇る勢いだった。
優くんは姉の幼馴染だ。でも私にとっては初恋の人で王子様。
だから優くんが家を出る時私は大泣きしたのだ。あの時優くんは青い鳥の人形をくれた。
「これを僕だと思って大切にして」
私も優くんにネクタイをプレゼントした。安いのだったけど。
優くんは今も持っていてくれてるだろうか――
私は学校から帰宅すると淡い記憶を背に姉の部屋へ入った。
最初に見たのは金髪のストレート。瞳に残る涼やかさが当時の面影を残している。
「久しぶり」
ふわふわの服を揺らし少女のようにはにかむ姿は即興で身につけたものじゃない。姉の隣にいたのは化粧もばっちりな美人さんだった。
思わず私は持っていたペットボトルを落としてしまう。透明な体が床の上を転がり天然水の文字が天井を見た。
可愛いけど、確かに素敵なんだけど。
「嘘でしょう?」
私の王子様は「お姫様」になっていた。