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怪物

「いいか、我々はモンスターバスターだ。このシロツメクサから抽出して作られた特殊液をモンスターに向かって噴霧し、撃退する」
 森田キャップが新人の僕らに、アクアラングから伸びた銃のようなものを構えながら説明してくれる。
「キャップ、緊急の出動要請です。場所は北区、海星中学校の校長室ですっ」
 オペレータの篠崎さんがビルから飛び出し、大声を上げた。
「ようし、みんな、出動だ。装備をまとめて車へ乗り込めっ」
「ラジャー」皆の心はひとつだ。
 現場に着くと我々は装備を身に付け、キャップを先頭に校舎に向かって走った。
 校長室と書かれた部屋のドアを蹴破らんばかりの勢いで開けた。
「モンスターはどこだっ」キャップが叫ぶ。
「いいですか校長先生、ここは伝統ある海星中学ですよ。息子はここのエリートなんですから。特別なんですよ。二度とこのような事が無いよう、専任の先生をつけてください」
 我々が目にしたのは、モンスターペアレントだった。

作者(敬称略) : 愛沢いさむ | ジャンル : ファンタジー | コメント : モンスターバスターたちの敵とは?
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ダイヤモンドグラス

 ふと窓の外へ目をやると、そこには漆黒の宇宙が広がっていた。
 地球から月へと航行する星間シャトルバスが見える。
 もうすぐ、長かったシリウスから地球への旅も終わる。
 私は積荷のことを思った。小さな木箱の中でシロツメクサの花を敷き詰めて入れられた、地球で言うところのダイヤモンドでできたグラスだ。私達の星ではダイヤモンドなど、地球のガラスのように扱われている珍しくも無い鉱石だ。
 私はこれを地球連邦への手土産として、亡命するのだ。大昔にも我々の祖先が、水晶で作った地球人の髑髏をもって亡命したで
はないか。きっと受け入れてくれるさ。
 そろそろ大気圏突入の準備だ。コンソールのボタンを操作し、航行モードを切替えた。
 いよいよだ。徐々に地球が大きくなってくる。
 しかし、人間があふれ食糧難に瀕した、老いた星を亡命先に選んで、本当に良かったのだろうか。いや、住める星は限られているのだ。
 答えが出ぬままスロットルを出力最大にした。

作者(敬称略) : 愛沢いさむ | ジャンル : SF | コメント : 遠い未来の地球へと向かう
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