変わらないでほしいもの。
クローバーのことをシロツメクサと言うようになったのは高校生の時からだった。
その方がいい感じでしょ、という彼女の言葉がきっかけだった。どうしていい感じなのかはよく分からなかったが、その時は皆と違う言い方をすることで彼女とささやかな共有ができたと思っていた。そして今も僕はその言い方を変えていなかった。
「あっ、見てみて。このシロツメクサ、5つ葉だよ。なんか星みたい」
たまたま通りかかかったバス亭の側に咲いていたそれを摘んで彼女は僕に見せてくれた。聞いている音楽も着ている服の趣味もまったく変わってしまった彼女の変わらないところを見つけて僕は少しだけホッとしていた。
変わらない人間なんていないのに、変わらないでいてほしいと願うのは愚かなことだろう。けれども僕はそれを求めずにはいられなかった。
初恋とはきっとそういうものなのかも知れない。
たとえそれがどんなに悲しい終わり方だったとしても……。
作者(敬称略) : ロベルト | ジャンル : 恋愛 | コメント : シロツメクサから思いつくまま書きました。
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