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壊れた男と茶色の時計

 疲れきった僕は、意識を朦朧とさせながら208号室の鍵を探す。毎日のように見つからない。やっと探し出してドアを開けると、ヒステリックな子供の泣き声のような嫌な音。大学受験に失敗しただけなのに、全てが僕を非難している。
 僕を唯一受け入れてくれるのは、茶色の目覚まし時計だ。ただの時計じゃない。喋るし、冗談だって言う。失くしかけたバイクのキーを見つけてくれるような優しい奴だ。
 僕らは、毎日のように共に語った。奴と共に眠り、奴にいつも起こされる。奴はとても早起きだ。勉強しているときには、お茶だって出してくれる。おいしくはないが、奴の心がこもっていてとてもうれしい。僕には奴しかいない。ほかの友達なんて要らない。
 そんな良い奴なのに、両親に紹介しただけで離れ離れにされた。とても悲しい。今奴はどうしているだろう。僕は出れない部屋の中で、奴のことだけを思っている。

作者(敬称略) : 夏後冬前 | ジャンル : 現代 | コメント : はじめまして。力不足ですががんばります
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