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拝啓、僕のアイドル様

 胸の谷間に札束を挟んだアイドルと戯れている、そんな夢を見ていた。目が覚めるといつもの通りの自分の部屋だ。どうやら僕は馬鹿げた事を心のどこかで夢見ているようだ。勿論そんな絵空事が現実になるとは爪の先ほども思ってはいない、つもりだ。
 でも考えてみれば可能性の無い話ではない。今すぐは無理だとしても一歩ずつ階段を上っていけばいつかは――。

 僕は秋葉原に向かった。撮影会はいまやライフワークだ。オタクと呼ばれることへの抵抗はいつの間にかなくしてしまった。それでも今朝見た夢ほどではなくとも、いつかきっと――。

 部屋に帰ると今日も僕は便箋にペンを走らせる。

 ――拝啓 僕のアイドル様。

作者(敬称略) : 中川 雅也 | ジャンル : 現代 | コメント : 「陰日向に咲く」の一説からタイトルを拝借
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