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今日という日

今日が終わってしまう。
時計はちょうど23時50分。

期待していた私がバカだったんだろうか・・・
そう、始めから期待なんてしなければ、こんな空しい気持ちになることもなかったのに・・
さっさと気持ちにケリつけてしまえばよかったんだ。

自嘲気味のため息がこぼれる。

その時だった。
ドアの呼び鈴が鳴った。

期待しない。
そう決めたばかりなのに。

ドキドキする胸をおさえドアを開けた。

「誕生日おめでとう」

照れくさそうに彼が立っていた。
そして後ろに隠し持っていた少しよれたバラの花束を私に押し付けた。

「・・・それより頭・・・」
包帯を巻かれた彼の頭。

「ああ、これ?」

彼が頭の包帯を押さえ顔をしかめる。

「お祝いしようと思ってビールとからあげ買いに行ったら車がぶつかってきてさ。病院運ばれたんだけど、今日中にお前に会わないといけないと思って医者に無理行って帰してもらったんだ。間に合ってよかった」

照れくさそうな彼の笑顔が涙で歪んだ。

作者(敬称略) : コスギ | ジャンル : 恋愛 | コメント : 彼の気持ちは・・・
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