[ 第一回目次へ / サイトトップへ ]

夕日の猫

夕日の頃・・・猫は鳴く。
私は泣く・。
彼からかかってきた電話は唐突だった。
何もないと思えた今日の数分前・・
その時も、私の前には猫がいた。
LLLLLL
彼の電話越しの声は今でも覚えている。
「わかれよう」
彼は私に言った。
理由を教えてくれず。突き放された。
初めての恋だったのに、終わってしまった。
不完全。
それを物語る一瞬が私を永遠と思わせた。
猫はただ、私に寄り添って鳴くだけだった。
その猫を私はなでてやった。猫はゆっくりと寝そべった。
猫は私を裏切らずにずっと私の目の前にいた。
嬉しかった。夕日にたたずむ空を見上げる。
紅の夕日が窓から光として入ってくる。
猫は体を伸ばして、窓を見た。
そして、ヒョイっと外へ出た
「ぁ・・・・」
私は一人だった。・・・
マンションの一室。一人だった。
しかし、数分して、何かをくわえて、猫は、戻ってきた
一本のスプレーだった。
何が言いたいのか私にはすぐ分かった。
そのスプレーは彼の物だった。
猫が分かっているのかは知らない。
でも、私は忘れるなと言っているように見えた。
猫はそのスプレーを置いて、また外へ逃げた。
私はスプレーを押した。
彼の臭いがした・・・・
懐かしくもどかしく悲しかった・・・
夕日は私に希望をと勇気をくれた。
電話をかけよう・・・彼にもう一度・・
受話器を取った。
LLLLLLLL
LLLL

ガチャ・・・



完・・・・・

作者(敬称略) : リュカ | ジャンル : 恋愛 | コメント : 読んで満足してくだされば・・・・・
感想は感想掲示板でどうぞ。
[ 第一回目次へ / サイトトップへ ]