[ 第一回目次へ / サイトトップへ ]

アンチワールド

「この腐った世界にあがらうためには、三つの要素が必要だ」僕の目の前にいる男がむやみやたらに声を大にして叫んでいる。
「そいつらを知っているか? よく聞けよ。そいつらはな、猫と電話とスプレーだ」ますます言っている意味がわからない。
「何言ってんだ?」つい聞いてしまった。
「何言っているかはこっちの台詞だね。良いか。
電話は――孤独を耐え、他人とつながる為に。
スプレーは――世界に言葉を、思いを、ぶちまける為に。
猫は――」男は大きく息を吸った。
「猫は?」僕は引き寄せられていく。
「――いとしさを、誰か見知らぬ他人にも与えられる愛をはぐくむ為に」
 そういった瞬間、僕の目の前から男が消えた。居た筈の場所には猫が、気持ちよさそうに眠っていた。

作者(敬称略) : 雪流 | ジャンル : その他 | コメント : 僕の前には敵がいます。どうやって戦いませう?
感想は感想掲示板でどうぞ。
[ 第一回目次へ / サイトトップへ ]